みなさんのおうちには空気清浄機はありますか?
新型コロナウイルスの流行に伴って急いで購入された方も多いかと思います。
ただ、空気清浄機って、まあまあな値段がするわりには、イマイチ効果を実感しにくいものですよね。買うだけ買って、スイッチいれてあとはそのまま。
「何か変わった??」ってなりますよね。
今回は、空気清浄機に興味があるけど、値段と効果という点で購入を悩んでいる人に、空気清浄機の必要性に対して、私見を述べさせていただきます。
結論から先にいうと
HEPAフィルター付きの、風量が十分な、大きめの空気清浄機を
コロナなどの感染症対策なら買わなくてもいい
花粉症などのアレルギー対策なら買ってもいい
になります。
どうしてそう判断したのか、解説していきます。
感染症対策としては”サブ”扱い

空気清浄機は、インフルエンザや新型コロナウイルスをはじめとした感染症の対策になるかどうかは不透明です。
「感染リスクが下がった」という根拠が乏しい
空気清浄機の普及率の高い日本で、コロナが流行して数年たっても、空気清浄機を導入している家庭や場所のほうが感染リスクが低かったというデータはでてきていません。
もちろん、高性能なHEPAフィルターを搭載した空気清浄機を利用することで「空気中のウイルスや細菌を捕集できる」というのは事実です。
とはいえ、ウイルスが減ることで「理論上、感染リスクを下げる可能性はある」とまでは言えるものの、その結果として「感染リスクを下げた」とまで言える根拠が乏しいのが現状です。
イオンで不活化できる?
空気清浄機の中にはイオンを発生させて、ウイルスなどを不活化できる機能を搭載したものがあります。この効果は事実であったとしても、あくまでこれは”密閉された、狭い、実験室的な空間”においてのもの。
”人が生活し、流動的な広い空間”においても同様の効果があるかどうかは検証されておらず、仮にその広い空間にも同様の効果があったとしても、それが”感染を予防するほどの効果かどうか”はさらに不明です。
ゲームに例えるなら、イオンが敵の数を減らせる(=部屋のウイルスを減らせる)ことがわかっても、生き残った敵の攻撃でも、十分にこちらが大ダメージを受ける(=感染する)なら意味がないということになります。
窓開け換気、換気扇のほうが重要
新型コロナウイルスや、インフルエンザといった感染症対策として「換気」が重要であることはみなさんご承知の通り。
厚生労働省によると、換気の基本は「窓を開けての換気」、「常時換気設備・換気扇の稼働による換気」です。
一般的な空気清浄機では、窓開け換気や換気扇と比べて換気量が十分ではないことから、換気不足を”補うため”に窓開け換気などに「併用」して使うという位置づけです。
よって、真夏や真冬にエアコンで締め切った空間に、空気清浄機を導入すれば窓開け換気をしなくていいということではありません。
むしろ、空気清浄機を導入した安心感で、それらをおろそかにしてしまっては余計に感染リスクを高めてしまうかもしれません。
感染症対策に「無駄」とはいわない。
しかし、現状は費用対効果が高いと言えるほどの根拠はない。
費用対効果が高いのは窓開け換気・換気扇。
花粉症などアレルギー性疾患には試す価値あり

花粉症や小児喘息といった、アレルギー性の疾患のために空気清浄機を導入するのは「アリ」でしょう。アレルギー性疾患の場合、原因物質を可能な限り除去・回避することが基本となります。
花粉症だと窓をあけて換気が難しい
花粉症の場合、窓を開けて換気をすると窓から花粉が入ってきてしまうため、窓開け換気をすることが難しくなります。
また、花粉症の人は外に洗濯物を干すと花粉が付着するため、どうしても部屋干しになりがちです。そうなると必然的に室内のほこりの量も増える傾向になり、換気扇や掃除機に合わせて空気清浄機を使って、室内の空気中に舞った花粉やほこりを除去するというのは合理的な判断でしょう。
有効性を示すデータがいくつかある
空気清浄機を使用したことによって、花粉症や小児喘息といったアレルギー性の疾患に有効であったことを示すデータがいくつか存在しています。
スギ花粉症の患者を、空気清浄機を使った群と使わなかった群に分けて、鼻水などの症状を日記形式で調べた試験では、空気清浄機を使わなかった群は、花粉の飛散の増加に合わせてくしゃみ・鼻水といった症状の増悪が見られたものの、空気清浄機を使用した群では飛散の増加による症状の増悪は見られなかったそうです。
また、小児の気管支喘息の患者に、本物の空気清浄機(フィルターあり)と、偽物の空気清浄機(フィルターなし)を使った試験では、本物の空気清浄機を使ったほうが、有意に苦しさや鼻水が軽減され、夜によく眠れたたことがわかっています。偽物の空気清浄機では上記のような改善はみられていません。
鼻アレルギー診療ガイドラインにも記載
上述の通り、空気清浄機を用いることで花粉症の症状を和らげる効果が報告されていることから、「鼻アレルギー診療ガイドライン 通年性鼻炎と花粉症」においても、原因物質を除去する方法の一つとして空気清浄機の使用が推奨されています。
もちろん、空気清浄機はアレルゲンとなる原因物質の除去をする「ひとつの方法」として推奨されているのであって、換気や掃除、マスクといった対策も重要であることはいうまでもありません。
根拠があるなら手段の一つとして試す価値がある。
買うならHEPAフィルター、風量も十分、大型の空気清浄機
空気清浄機であれば何でもOKというわけではありません。
厚生労働省によれば、推奨される空気清浄機は
「HEPAフィルターによるろ過式で、かつ、風量が毎分5㎥程度以上のものを使用すること」
とされています。
つまり、十分な風量で空気の流れを作りだし、その空気の流れをちゃんとしたフィルターに通さなければあまり意味がないということです。
他にも、空気清浄機には「最大適用床面積」というものが記載されています。
これは、30分間で空気を綺麗にできる面積の目安であり、大きければ大きいほど空気の清浄力が大きくなることを意味します。
使用する予定の部屋の面積ちょうどの製品を選ぶのではなく、適用面積の広い大型の空気清浄機のほうが、より清浄力を高めることができ、なおかつ大きなファンがゆっくり回るため静かな運転になる傾向があります。
空気清浄機を買うんだったらケチらない。
条件を満たした空気清浄機
【リビング向け】 ブルーエア ダストマグネット 5440i
【主な仕様】
フィルター:HEPA
フィルター清掃:不要
フィルター寿命:6か月~1年
フィルターコスト(目安):9800円
最大適用床面積:56m2(34畳)
風量:3.9ー8.4m3/分
電気代:1時間あたり0.2~1.1円
運転音:30-50 dB(A)
日本ではシャープやダイキンといった国内メーカーの空気清浄機が人気ですが、ブルーエアは世界的な空気清浄機メーカーの一つ。日本の病院などでも多く採用されています。
ブルーエア ダストマグネット 5440iは、十分な風量とリビングにぴったりなインテリア性を兼ねそろえた空気清浄機で、国内だけでなく多くの国でデザイン賞を獲得している人気モデルです。
本体の上部はサイドテーブルとして使用することもできるという、ありがたい(謎)機能をもち、スマホのアプリを通して室内の空気をモニタリングすることも可能。
【個室・寝室向け】 ブルーエア Classic 205
【主な仕様】
フィルター:HEPA
フィルター清掃:不要
フィルター寿命:6か月
フィルターコスト(目安):6000円
最大適用床面積:41m2(25畳)
風量:2.1~6.2m3/分
電気代:1時間あたり0.4~1.4円
運転音:32~56 dB(A)
同じくブルーエアの空気清浄機。
寝室は、他の部屋に比べて布団や衣類などのホコリが舞うことが多く、なおかつ寝ている間長時間そこにいるため、寝室の広さよりも最大適用床面積に余裕をもったモデルのほうがおすすめ。
寝室に適した落ち着きのあるシンプルなデザインで、洋室でも和室でもどんな部屋にも違和感なく設置しやすいモデルです。
ブルーエアのフィルター寿命は短すぎ?
シャープやダイキンといった国内メーカーのフィルター寿命は5〜10年と記載されている一方、ダイソンやブルーエアといった海外メーカーのフィルターの寿命は0.5〜1年程とされています。
これは決して日本メーカーの技術力が素晴らしいということではなく、フィルターの寿命を”どう定義しているか”の違いです。
国内メーカーの設定している寿命は、フィルターの機能の”低下具合”のみを基準にしており、汚れを吸ったフィルター自体から発生するカビや臭いなどは一切考慮していません。
マスクに例えるなら、外からの汚れをある程度防げているのなら、マスクにカビが生えようが、悪臭を放とうが、マスクの内側がどうなっていようが、まだ使えるよね、合格という基準です。
その状態で使い続けるなら、そのマスク(フィルター)を通した空気を10年吸い続けることを意味します。
当然ながら「現実的な」フィルターの寿命が10年も持つわけがなく、定期的な交換が必須です。
そりゃ誰だって、フィルター交換せずに長期間使えるほうが楽だし、お金もかからないし、そっちのほうが良いに決まってます。カタログの数字だけ見比べれば、長寿命の製品を選びたくなるのは当然です。
ですが、現実的にそんなうまい話はないのです。真に受けてはいけません。
残念ながら、日本のメーカーの空気清浄機は、本当に空気をキレイにすることよりも、マーケティングを重視した寿命の設定をしていると言わざるを得ないでしょう。
本当に、ちゃんとキレイにしたいなら、空気清浄機のフィルターは定期的に交換が絶対に必要なものと覚えておきましょう。
まとめ
”適切に”使用された”適切な”空気清浄機の存在が、健康にとってマイナスになることはないでしょう。
ないよりはあったほうがいいことに異論はありません。
ですが、決して空気清浄機は安くないし、定期的なフィルターの交換、電気代も含め、ランニングコストもかかるものです。
感染症の対策であれば、まずやるべきは窓開け換気や手洗いを徹底、その上さらに対策を取りたいときなどに空気清浄機を検討しましょう。焦って無理に導入する必要はありません。まずは落ち着いて窓でも開けときましょう。
花粉症やホコリのアレルギー対策であれば、まずは部屋の掃除を徹底し、それでも改善が見られないときは空気清浄機を試してみる価値は十分あります。ただし、その場合はケチらずにちゃんとした製品を選び、定期的なフィルターの交換は必要経費であることを忘れないようにしてください。
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