・ついつい乗せられて買ってしまう。
・安かったから買ってみたものの、あまり必要ないものだった。
こんな経験ありませんか?
私にも、良かれと思って買ってみたものの、ほとんど使わなかった商品はたくさんありました。
でも過去のことはしょうがありません。
なぜなら、相手は商品を売るために心理学を応用した巧妙な罠を仕組んでいるわけです。それを知らなかったのなら、ついつい乗せられて買ってしまうのは心理学的に”正しい”結末なんですから。
(たぶん)あなたのせいではありません。
しかし、これを読んでいる人はきっとそんな浪費癖の自分から脱却したいのでしょう!
そんなあなたに、今回は売り手側が仕込んでいる商品を買わせるための巧妙な罠について解説していきます。
一度でもこの罠を知っておけば、いざ買う時にいったん冷静になって考えられるようになると思いますよ!
手に入れたい < 失いたくない

人は何かを手に入れたいと思う欲求よりも、今もっているものを失いたくないという欲求のほうを強くもっています。
ダニエル・カーネマンらの行動経済学のおもしろい実験があります。
マグカップを被験者の半数にだけプレゼントし、半数にはあげなかった。
もらえなかった被験者に対しては「いくらだったらそのマグカップが欲しいか」を尋ね
もらえた被験者には「いくらだったらそれを売っていいか」を尋ねた。
もらえなかった被験者は平均2.87ドルで買うと答えたのにたいし、
もらえた被験者は平均7.12ドルで売ると答えた。
⇒手に入れることよりも、失うことのほうが値段がはるかに高かった。
人は一度でもその物を所有してしまうと、それを手放したくないという感情をもってしまいます。そしてそれは、それを手に入れたいという欲よりも強いものであることをこの実験は表しています。人は手に入れたい欲を満たすことよりも、失う痛みを感じたくないのです。
ポジティブなニュースよりネガティブなニュースが多いのは、人はより痛みを避けることを重視するがゆえです。人はネガティブなことに敏感なのです。
人が痛みや恐怖に敏感なのは、生物として生存していくためには本来必要な機能ですが、それをうまく逆手にとった売り手の手法といえます。
「初月無料」
「お試しで」
「不要なら返品OK」
など、とりあえず相手に「保有」させさえすれば、そのあとは普通に売るよりも簡単に売ってしまうことができます。逆に言えば、買い手側としては、いくら最初は無料であったとしても、不必要だと思うものには最初から手を出さないというのが、浪費を治すための賢明な判断といえます。
いらないものは最初から所有しない。
おとり効果 お得を選ぶ罠

より”お得”なほうがいいに決まっています。
選択肢がいくつかあれば、比較して最も良いと思うものを選ぶでしょう。
しかし、あえて”おとり”の選択肢を用意して、それが良いと見せかけられていないかは注意しなければなりません。
被験者に雑誌の定期行動の広告を見てどれがいいか選んでもらいます。
①WEB版 59ドル と
③WEB版+印刷雑誌セット125ドル
の二択でどちらがいいかを尋ねたところ、68%が ①WEB版59ドル がいいと選択したのにたいし
①WEB版 59ドル
②印刷雑誌 125ドル
③WEB版+印刷雑誌セット125ドル
という三択で尋ねたところ、84%が③WEB版+印刷雑誌セット125ドルを選んだ。
<ダンアリエリーの実験 デューク大学 行動経済学の実験>
②のおとりの選択肢を入れることで、多くの人に高い金額の選択をさせることができるというある意味”恐ろしい”実験といえます。
十分に比較し、より賢いお得な選択をしたつもりでも、まんまと相手の罠にはまっている可能性を考えなくてはいけません。②と③だけの比較であれば明らかに③のほうがお得なのは間違いありませんが、①を選ばせないために②をおとりとしていれるだけで、こんなにも人の判断は変わってしまいます。
モノを買うときは単に比較するだけでなく、そのモノ単独で、それに対して払う金額として妥当なのかという視点も必要です。
比較だけでなく、そのもの単独でその金額を払う価値があるかも考える
アンカリング効果

「通常価格69000円のところ・・なんと今回は39800円で!」
「¥29800 ¥9800」
どこかで見たり聞いたりしたことありますよね。
当然、みなさん見慣れすぎて安く見せて売るための罠であることは熟知しているはず。といっても絶大な効果があるのは間違いありません。なんだかとてもお得に感じてしまいます。
このように、最初に何かを(元の価格など)を提示されると、人はそれを基準にして物事を判断してしまうことをアンカリング効果といいます。
単なる値下げなら、価格を張り替えればいいところをわざわざ以前の値段を残したままにするわけですから、こちらが罠だとわかっててもついつい手に取ってしまう、買ってしまうことを見透かされています。
そんな人にはネットで有名な格言をお教えします。
これを頭の片隅においておけば、アンカリング効果にまどわされることなく必要かどうか判断できるようになるはずです。
迷う理由が値段なら買え、買う理由が値段ならやめとけ。
まとめ
いかがでしたか?
ついつい浪費しまった経験があっても仕方ありません。
なぜなら相手は心理学を使って巧妙に売ってきているわけですから。
しかし、これらの罠の存在を知ったあなたは変わったはずです。
あなたのこれからの浪費を止める一助になれば幸いです。
- いらないものは最初から所有しない
- 比較だけでなく、そのもの単独でその金額を払う価値があるかも考える
- 迷う理由が値段なら買え、買う理由が値段ならやめとけ
【参考書籍】
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