「食べてはいけない食品」
って聞いたことありますか?
牛、豚などの赤肉、ハムなどの加工肉、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸などがよくやり玉にあがります。
もし、日本人として健康のために食に気を配るのであれば、これらを気にするよりも前に、もっと別のものを気にすべきです。
日本人はそこまで食べてない
赤肉やハムなどの加工肉を食べ過ぎると、大腸がんのリスクを上げることは”ほぼ確実”とされています。
マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸に関しては、心筋梗塞などのリスクを上げることもわかっています。
当然こういった食品や成分をとりすぎれば、上記のようなリスクが上昇することは間違いないでしょう。
しかし、これらの食品の平均的な摂取量を見てみると、そもそも日本人はこれらの摂取量がすでに低いことが分かります。
食品 | 目標摂取量 | 日本人の平均摂取量 |
加工肉(ハム・ソーセージ類) | できるだけ控える または50g | 13.4g |
赤肉 | 週500g | 週390g |
トランス脂肪酸 | 総エネルギーの1%未満 | 総エネルギーの0.3% |
・令和元年 国民栄養・健康調査
・世界がん研究基金・アメリカがん研究所
・WHO(世界保健機関)
欧米と比べ、日本人の食生活ではこれらの摂取量はすでに十分低い水準にあります。欧米発信の基準をそのまま日本にあてはめても、ちくはぐな結果となりかねません。
赤肉、加工肉について、国立がん研究センターでは
”日本人の赤肉・加工肉の摂取量は世界的に見ても低く、平均的摂取の範囲であれば大腸がんのリスクへの影響はほとんど考えにくい” としています。
トランス脂肪酸について、厚生労働省では
”トランス脂肪酸の摂取量については、日本人の大多数がWHOの勧告(目標)基準である、総エネルギー摂取量の1%を下回っており、通常の食生活では健康への影響は小さい” としています。
アメリカなどトランス脂肪酸の摂取量が多い国では、食品中のトランス脂肪酸の含有量の記載義務、食品への添加禁止などの規制がありますが、現在日本にはそういった規制はありません。すでにあまり摂取していないものに、現時点で新たな規制をかけるメリットに乏しいからといえます。
もちろん、これらの食品を「食べすぎてもいい」ということにはなりませんが、平均的な日本人の食事摂取量からいくと、すでに目標を達成している可能性が高いといえます。特にこういった健康に関する記事を読んでいる方なら尚更です。
つまり、日本人が健康のために食を気にするのであれば、もっと別のことに目を向けるべきなのです。不必要にあれもこれも自主規制する必要はありません。
日本人が気にすべきは塩分
日本人の食生活でより気にすべきものは塩分です。
「ぎくっ!」とした方も多いのではないでしょうか?
日本食は味噌汁、梅干し、漬物、ラーメン、うどん、丼もの、寿司、しょうゆ、せんべいなど塩分を多量に含んだ食品が多いことで知られています。
実際、日本人の塩分摂取量は男女ともに目安を大幅に超過し、世界的にみても高い水準です。
性別 | 目安 | 摂取量 |
男性 | 7.5g | 11g |
女性 | 6.5g | 9g |
塩分の過剰摂取は、高血圧・胃がん・食道がんなどのリスクを高めます。
中でも高血圧は脳卒中、心筋梗塞などのリスクを高め、日本人の生活習慣病による死亡に最も大きな影響を与えるものとされています。
日本人の約3分の1、約4300万人が高血圧、そしてその主たる原因が塩分の取りすぎなのです。
高血圧になると、基本的には一生降圧剤の服用が必要になり、経済的な負担ものしかかります。
健康保険組合連合会の「生活習慣関連疾患医療費に関する調査」によると、高血圧の治療にかかる費用は毎月5200円、基本的にはこれがほぼ一生続くことになります。
塩分を減らすことで、病気のリスクを減らし、さらにそれにかかる経済的な負担も減らすことができます。特定の食品を取らないことに注視するよりも、日本人が食で気にすべきはまず塩分量なのです。
まとめ
「〇〇は食べない」
といった生活は現実的ではありません。むしろ神経質にやりすぎることで、食の楽しみを奪われ、精神的に疲弊し、栄養素の偏りが生じる可能性があります。
そもそも多くの食品は栄養素としてのメリットと、過剰摂取によるデメリットを両面もっています。程度の差はあれど、特定の食品に限った話ではありません。
やはり食事はバランスよく、そして日本人の食生活においては(トータルの)塩分量を控える食事を心がけるほうが、多くの日本人にとってよりメリットの大きいものとなるはずです。
高血圧、塩分の取り過ぎに関しては以下でも解説しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
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