最悪、死に至る熱中症。
熱中症予防には
「水分だけでなく塩分も一緒にとる」
というのが当たり前のように語られています。
しかし、だからといって夏にみな一律で、塩分も追加で摂取する必要はありません。
むしろ塩分を余分に取ることで血圧をあげ、動脈硬化を早め、余計に不健康になる可能性があります。
すでに塩分は十分とっている
普通通りの食事をとっていれば、塩分は十分すぎるほどとっています。
日本人の塩分摂取の目安量は男性7.5g、女性6.5gなのに対し、平均的な摂取量は男性11g、女性9gと十分に超過しています。
また、人間が一日に必要とする、”摂取すべき塩分量”は1.5g程度とされており、それからすると大幅な超過になります。
1.5gの塩分はちょうど味噌汁1杯分の塩分と同等くらい。当然それ以外の飲食もするので、必要量としては十分な塩分を取ってしまっていることがわかるかと思います。
日本高血圧学会では、熱中症予防として「(大量の発汗をする場合をのぞき)通常の食事を摂っている方は、意識的に塩分摂取を増やす必要はありません」としています。
高血圧と診断され、普段から”減塩(6g以下)”を意識している高血圧の方でさえ”意図的な追加”は不要とされているわけですから、普段から減塩を意識していない人はなおさら不要ともいえます。

「仕事は基本エアコン効いた室内だけど、たまに炎天下の中外を歩くことがある」という人もいるでしょう。
しかし、炎天下の中で10分歩いた時の発汗量は約100mL程度とされており、汗の塩分濃度を0.3%とすると喪失する塩分は約0.3g。摂取している塩分量からすると微々たるものです。お昼に炎天下の中往復10分かけてラーメン屋に行き、そこでラーメン(塩分量7g前後)を食べようものなら大幅な”黒字”です。
よって、炎天下の中長時間作業・運動をするような人たち以外、ほとんどの人にとって追加の塩分摂取は不要なのです。
塩分のとりすぎで不健康に
仕事はエアコンが効いた室内なのに、熱中症予防として毎日塩分入りの水分を補給してませんか?
残念ながらこういった人は血圧をあげ、動脈硬化を早め、自ら不健康にしていると言わざるを得ません。
前述のとおり、多くの日本人は十分な塩分をとっています。
炎天下の中で長時間作業をし、大量の汗をかく人ならともかく、そうでない人が塩分を追加でとってもほぼマイナスの影響のほうが大きくなります。
塩分によって血圧があがると、つねに血管・心臓に負担がかかった状態になり、腎臓の機能を弱め、脳卒中などを引き起こすリスクが高まります。一度脳卒中を起こさせば、そのまま死ぬ可能性もあるばかりか、救命できたとしても後遺症が残る場合があります。腎臓の機能が弱くなれば、透析も必要になってきます。
熱中症は確かに危険ですが、正しく予防しなければ余計な負担を体にかける結果になりかねません。
正しい熱中症予防
不必要な塩分摂取をさけ、なおかつ熱中症を予防するために必要なことは以下の4点です。
1 暑さを避ける(高温・多湿・長時間)
2 食事をしっかりとる(特に朝食)
3 水分をこまめに補給する
4 大量発汗のとき(予想されるとき)は塩分も補給する
1 暑さを避ける(高温・多湿・長時間)
まずは大前提として暑さそのものを避けることが重要です。そもそも熱中症が起こるような環境を避ければ、熱中症のリスクを大幅に減らせます。
最高気温だけでなく、環境省が発表する暑さ指数(WBGT)などを活用し、危険な暑さのときは運動などのリスクのある行動はとらないことが重要です。
| 暑さ指数 (WBGT) | 熱中症予防運動指針 |
| 31以上 | 運動は原則中止 |
| 28~31 | 厳重警戒 激しい運動は中止 |
| 25~28 | 警戒 積極的に休憩 |
| 21~25 | 注意 積極的に水分補給 |
| 21未満 | ほぼ安全 適宜水分補給 |
2 食事をしっかりとる(特に朝食)
食事をしっかりとることで十分な量の塩分を摂取することができます。
特に朝食は重要で、熱中症をおこす人は朝食をしっかり食べていない人が多いこともわかっています。
食事でしっかりと水分と塩分をとっておくことが熱中症予防につながります。
3 水分をこまめに補給する
汗をかいていなくても、こまめに水分を補給しておくことが必要です。
普段通りの食事をとっている場合、塩分は十分にとれています。特に、エアコンの効いた室内にいることが多い人は意図的に塩分を追加して補給する必要はありません。
また、多少汗ばむくらいでは汗から塩分の損失はほとんどありません。そういった場合も水分の補給だけで十分です。一日あたり約1.2~1.5Lの水分をとることがよいとされています。
4 大量発汗のとき(予想されるとき)は塩分も補給する
炎天下の中での長時間の作業など、大量の発汗がある(予想される)場合は、水分に合わせて塩分も補給しましょう。高温・多湿・長時間での作業はさけるべきですが、仕事内容によってはさけることができない場合があります。
そういった場合には適宜休憩をとりつつ、その際に水分・塩分を補給しましょう。
まとめ
- 食事をしっかりとれば、基本的にこまめな水分補給でいい
- 大量の汗をかく(予想される)ときは塩分も補給
- 夏だからといって一律に塩分を追加する必要はない
熱中症は危険ですが、正しく予防しなければ余計に健康を損ねる可能性があります。
特に、汗の量にかかわらず、夏の季節に”常に塩分入りの水分を補給する”というのは厳に慎むべきです。
不必要に塩分をとりすぎることなく、熱中症を予防していきましょう。



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